〜ペットショップ・オブ・ホラーズ舞台写真*プロローグ〜第1話*〜
ロビンとメドゥサ、ポンとトーマス、クリスとスルタナの影が、 現れては消えていく。 ――――D伯爵とレオンが現れる。 レオンが叫ぶ。 「D!!」 Dが振り返る。 ―――物語が始まる――― |
|
二人の男女が見つめあう。 男が女の目を見た瞬間、 男は崩れ落ちる。 ―――彼は命を失った。 男の名は、ロビン・ヘンドリックス。 かつて、天才子役として もてはやされた男――。 |
|
サイレンが鳴り響き、 刑事のレオンが現れる。 ロビンの死因は、心臓麻痺。 しかし、ロビンの遺体そばで 大きな白いトカゲが寄り添っているのを 発見する。 「これは…トカゲなのか? …… D ! またか!」 |
|
LA・チャイナタウンにあるペットショップ 「COUNT D」 客が何かを買い求めて去っていく。 店主、「D伯爵」が微笑んで送り出す。 「それでは、どうぞ末永く、 かわいがってあげてください」 |
|
アライグマの少女「ポン」が大仰に登場。 「伯爵!!大変、大変! ………私、 おなかが減ったわ!!」 「いけません! 食べすぎはよくないです」 むくれるポン。 |
|
レオンがおやつを持って登場。 「D、お前、甘いものに目がなかったよな」 「これは、ホテル・ド・マルセイユの ガトゥー・ウォ・シャンパーニュ! 何でも聞いてください!」 Dに聞き込みを開始するレオン。 |
|
「ロビンのそばで、白いトカゲが死んでいた」 「死んだ!?なんてことでしょう! この世で数匹しか残っていない 貴重な種だったのに…」 「人間よりトカゲか。 お前らしいな…」 「彼は、亡霊に殺されたんですよ」 |
|
「いくら密室の殺人でもな、 犯人が幽霊でした、じゃ 俺たちの商売上がったりなんだよ!」 「ホラ怒らない。 カルシウムが足りませんよ」 ――トカゲの遺体を 引き取りに向かう道中、 Dがロビンに白いトカゲを 売った時のことを語り始める。 「あれは、2ヶ月ほど前の話です…」 |
|
ロビンがペットショップに現れる。 「いらっしゃいませ、皇太子殿下」 「よしてくれよ、現実の僕は そんなにいいものじゃない…」 過去に演じた「皇太子」役が いつまでもつきまとい、 過去の栄光に置き去りにされ、 妻とも別れ、 孤独に毎日を過ごすロビン。 |
|
「それでは、先日入荷したばかりの とっておきをお譲りしましょう」 Dが促した先には 目隠しをした、一人の 美しい女。 「よしてくれよD、 いくら妻と別れたばかりだからって…」 「よくご覧ください。 彼女はトカゲです」 |
|
「この目隠しは何だい? 瞳も見せておくれよ」 「伝説ではこの種は暗殺用の 兵器として使われていたそうです」 「毒でもあるのかい?!」 「毒ではなく魔力、とでもいいましょうか…」 彼女の瞳を見た者は、一瞬にして 石と化す、という。 まるで古代ギリシャ神話の メドゥサのように…。 |
|
「今の話、どうも納得がいかん!」 レオンが不服そうに言う。 「トカゲが人間の女に見えたなんて 薬でもやってたんじゃないのか?」 「信じようが信じまいが、 あなたの勝手です」 「で、ロビンはそのトカゲを買った 訳だな?」 「ええ」 |
|
メドゥサに魅せられ、再び生きる目的を 見出したロビン。 しかし、結局 「過去の自分」を越えられない ロビンは生きることに絶望する。 「僕にはもう、君しかいない。 なのに、君一人守ることも出来ない…」 メドゥサの目隠しを取り、崩れ落ちるロビン。 メドゥサも自らの瞳を見て、 彼の後を追い、絶命する。 |
|
「これでようやく、 ロビンは皇太子の亡霊から 解き放たれた訳ですね」 「自分が死んじまったら意味が ねえじゃねえか…」 「いいえ」 |
|
「生きて芸能界の垢にまみれながら、 老体をさらしていく一生を捨て。 鮮烈に生きて、夢見るように逝った銀幕のスターの、 永遠に語り継がれる伝説が、 生まれたのです―――――」 |
|