第4回公演 Petshop of Horrors〜Dead to the world〜 舞台写真B


「オレはジョージだ、今日からお前の相棒だ。
よろしくな、ヒヨッコ」
「はい!よろしくお願いします!!」


レオンの先輩であり、同僚でもある「ジョージ」。

彼は同時に、レオンの理解者であり、指導者だった。

刑事になりたてのレオンがつぶやく。
「俺には、銃は向かない…」
犯人に銃を向けることを拒否するレオン。

「銃を構えろ、レオン!ここは俺達の戦場だ。
甘さを見せたやつは死ぬだけだ…構えろ!」
「奴はもう何もしない、俺に約束したんだ…」

「今の俺達には、野放しにするか、ぶん殴ってでも
閉じ込めるか、もしくは殺すか…
そんな力しかないんだ!立て!
レオン・オルコット!」
どうしても銃を向けることができないレオン。
「わかったよ…」

ジョージがつぶやき、犯人に銃を捨てて向かう。

興奮した犯人に発砲され、斃れるジョージ。

「ジョージ!!!!」

思わず犯人に発砲し、犯人を殺してしまうレオン。


自分の甘さの結果、
二人とも死なせてしまったという事実。


レオンが、うなだれる。

……夢が、途切れる。


天がつぶやく。

「あんたが先に引き金を引いていれば…、あの人が生きていれば、”望む世界”が、拡がっていたんだろうか…?」



「忘れ物…あんたと伯爵に、届くといいな」

Episode 3 Dreamlike
レオンが目覚めると、そこは警察署内だった。
手には、Dのカバン。

「ジョージ…」

つぶやくレオン。
Dが背後に現れる。


いなくなったはずのDがそこにいるという事実に、
驚くレオン。


「…ほら、これ、お前のだろ…」
「まだ、だよ…」
Dにカバンを渡そうとするが、天がそれを横からさらう。
「刑事さん…、あなたは、何を望みますか…」
「あん?オレは、何も…」

「D伯爵のペットショップへ、ようこそ…。
…あなたのお望みは、何ですか…」


Dが静かに微笑んで、去る。

「ちっ…わけわかんねえ…」
「甘さは捨てるだな、じゃなきゃ、すぐにお迎えがくるぞ…」

死んだはずの、ジョージの口癖が聴こえる。

レオンが叫ぶ。

「お前は…誰だよ!!!」
再び目を覚ますレオン。
「ちっ…また夢か…」


ジョージが現れる。

「ジョージ!?お前、死んだんじゃ…」
「勝手に人を殺すな。なんだ、キツネにつままれたみたいに」

「全く、そんな気分だ…。そうか、…生きてたのか…!」


喜んだのもつかのま、ジルが現れ、告げる。

「地下鉄構内で小規模な爆発。急いで!」
相次ぐ爆発事件。

警察内にテロ組織と内通する人間がいる可能性を
示唆するジョージ。


「内通者がいたとして、何が目的かだな」
「そうだな、同じ国の人間が裏切るなんて…」

「自分以外は疑うことだな」
「ねえよジルにしてもジョージにしても、この国を裏切るなんて
考えられないしな」

内通者の存在を認めようとしないレオンに、
ジョージが言う。

「だからお前は甘ちゃんなんだよ」
ペットショップにレオンが訪れると、
ジルが先客としていた。


「さあ、なんなりと…」

「会いたい…。
あの日いなくなったあの人に、会いたい…」
「いいでしょう…」

Dが微笑む。

ジルの恋人は、グランド・ゼロに消えていた。

レオンが叫ぶ。

「やめろ!」
ジョージがペットショップに現れる。
「なんだ、役者は揃ってるじゃないか…」

ジルが銃を振りかざし、ジョージと対峙する。

ジョージは、ジルを内通者として踏んでいた。

国を憂い、死んだ恋人を想い、テロに手を染めていたジル。

「国際テロ組織、アメリカ国民、全部道連れに
天国の恋人に会いにいくってか?ジル!」
「私は、この国の罪を洗い流すだけ…わかるでしょ?レオン!」
「レオン!」

「うるさいよ!どっちが正しいとか間違ってるとか、
そんなことオレは知らねえよ!
オレはお前らとは違う…!!」
Dが笑う。

レオンとD以外、世界が停止する。


「あなたは本当に興味深い…」
「何がおかしい…」

「みんな、死んで欲しくない、ですか?仲間だから?
…大きな理想ですね…」
「あなたは愛する人を想い、この世界を憂う。
あなたは安定と秩序の為に力を行使する。
あなたは理想を掲げ、平安を願いますか…
奇しくも、望むものは同じかもしれませんねぇ…」

「誰も、人を殺すために生まれてなんかこねえよ…」

「その通りです。人はずっと願っているはずです。
平和であってほしいと。
ですが、人は人を、動物たちを、
この星を傷つけます。
それが、現実ですよ…」
世界が動き出す。


「もう、遅いの…」

ジルがジョージを撃つ。

「ジル、なんで…!」
「ねえ、大切な人が死んで、私は悲しかったわ…
私たちが誰かを撃てば、今度は誰が、
悲しむんだろう…?」

ジョージが、ジルを撃つ。

二人が斃れる。
世界が紅く染まる。

Dが3人を見おろし、つぶやく。


「ああ…雨が降る…
火の雨が降る。
人が降らせる日の雨…。
この大地は誰のものでもないのに。
その命は、全てかけがえがないのに。
…そしてまた、動物たちは追われてゆく。
……人は…どこへ行きますか……」
「オレは、何なんだ…」




レオンが、こめかみに銃を当て、発砲する。
天が見せた「夢」が終わる。


「これがあんたの望むもの…、
あんたの迷い、
あんたの未来………、
…そうじゃないだろ!!
よく、思い出して…!」

過去の出来事がよみがえる。

レオンと、天の出会い。


「弟がいるんだ、お前くらいのな…。
せめて、お前たちが笑っていられる、未来がほしいよな…」


天に、自分の理想を語るレオン。



お腹を鳴らした天に、レオンがチョコレートを差し出す。
ジョージとの過去がよみがえる。
理想を語りあった思い出。

過去が終わり、「ジョージ」が語りだす。

「覚悟は出来ているのか?お前が求めているものを
手に入れれば、誰かが悲しみにくれるかもしれない…」
「ああ」
「決めたんだな」
「…誰かの強い思いを制するための銃口。
そんなものがいらない未来があるなら…生まれ変わってみるか」

笑顔で消えるジョージ。
Epilogue  Daylight
「いつまで寝てるの!!」

レオンが目覚めると、目の前にはジルがいた。
全ての夢が終わり、「現実」が訪れる。

ジョージは死に、この街にDは、もういない。

「やりたいようにやるさ…」

「ちょっと出かけるわ」「ちょっとで済むの?」「さあな」
「目的は?」

「人間は、空が飛べるようになるかどうかを、確かめに」
Dが過ごす、新たな土地。東の果ての小さな国。
この地でも、人間のめまぐるしさは変わらなかった。
「この国は、あの大きな国を、追いかけているのでしょうか…」

天が、Dの元に帰る。
「天ちゃん、あなたの願いは、叶いましたか?」

天が微笑む。

レオンがDの前に現れる。


「…遠いよ…」
「お久しぶりです」

「忘れモンだ」

Dに、カバンを差し出すレオン。


「…おいしいお菓子をいただきましたので、お茶にしましょう」
「おう、こっちの茶は、うまいって聞くしな」







END



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