第4回公演 Petshop of Horrors〜Dead to the world〜 舞台写真A


暗闇の中、
マントに身を包んだ男が
佇む黒髪の青年に襲い掛かる。


男がつぶやく。
「違う、私の求めているもの…
それは完璧なる永遠、
新たなる復活……」

Episode 2 Dracula
アメリカ全土で吸血鬼事件が発生する。

被害者はいづれも
「何らかの形で動物を扱う東洋人の青年」
だという。


警察署内で問題をレオンに提示するジル。

「この街で最も狙われる可能性がある人物は、
限られるわ」
「さあ、わかりません」


Dを警護しろ、というジルに、それを嫌がるレオン。
「だったら、彼にはオトリにでもなってもらいましょう」

FBI捜査官、ノーマ・ラングレイが登場する。
ノーマとコンビを組んでDをオトリにしながら警護し、
捜査することになるレオン。

ペットショップに、一人の男が訪れる。

「ようやく会えましたね、D伯爵。
今宵は60年前に交わした契約を
果たしていただきに参上しました…」


男がDに襲い掛かる。

「レオン!!」

ペットショップに現れたレオンにわざとらしく抱きつくD。

「君は、伯爵の何だね」
「俺は、刑事…」
答えようとするレオンの足を踏み、誤魔化すD。

「はは〜ん、そういうことですか…私としたことが…。
いいでしょう、今日のところはいさぎよく
退散しましょう…」
男が一人で納得する。
だがしかし!私はあきらめたわけではありません!!
必ずや、伯爵の心をゲットしてみせます!!」

男が大げさにマントをはためかせ、退場する。


「知り合いか?」
「ええ、彼は、祖父の代のお客様で…
アレクサンドル・ハンス・フォン・モルダヴィア公爵です」
「長い!!」
遅れて、ノーマがペットショップに現れる。

「あなたがD伯爵…。はじめまして。
あなたの身は、全力を挙げてお守りしますわ…」
「それは、どうも…」


意味深に握手を交わす二人。
Dを警護するレオンの前に、
アレックスが現れる。

アレックスが吸血鬼事件の犯人、「吸血鬼」なのでは、と、
勘ぐるレオン。


「何のマネだ?」
十字架とニンニクをかざすが、一蹴される。

彼が持つのはD伯爵への貢物、
「真紅の薔薇、バロン・ギロー・ド・ラン」、
「トカイの赤ワイン」、
そして 「ラ・プリマヴェールの、苺のケーキ」。

Dが甘いものに目がない事を知るレオンは、
苺のケーキを放り投げる。

「ひれつな…!罪のない食べ物に八つ当たりするとは…!」

アレックスが怒り、
二人はケンカを始める。
夕焼けの中、アレックスが昨年死んだ妻のことを
語り始める。


「実をいうとね、イザベルとの結婚のとき、
D伯爵には猛反対されたんだよ…」

「D?ああ、じいさんのほうか…」
アレックスの回想の中。

「結婚なんて、きっと後悔しますよ!」

二人の結婚に反対する「D伯爵」に、
アレックスが微笑む。

「たとえ死が二人を引き離しても、
朽ちることのない永遠を誓うよ…」

「…わかりました…その近いがまこととなったその時には…
あなたの望みを叶えてあげましょう」


「D伯爵」が、アレックスと契約を交わす。

「…今の僕を救ってくれるのは、D伯爵だけなんだ…」
ペットショップ。


「私があなたを殺してあげる」
Dに銃を向けるノーマ。

発砲したそのとき、アレックスが現れ、Dをかばう。

「そんなもので我々を殺せないのはお前も
知っているだろう、ノーマ」

「アレックス…」
「今日こそ契約を果たしてもらうぞ、D伯爵!」

アレックスがDの手をとり、その血に口づける。

「待って、アレックス!!!!」


「うあ…あーーー!」

Dの血を飲んだアレックスは、
塵となって消えてしまった。
「不老不死の一族が探しつづけ、
求めつづける最後の望み…
永遠の死を約束する、”D伯爵”の、血……」

ノーマがアレックスのマントを手に、つぶやく。

アレックスとノーマは吸血鬼の一族で、
ノーマはアレックスを愛し、彼を追い続けていたのだ。


「イザベルなんて、ダンスも料理もヘタクソで
その上ケチで時間にルーズ!
死ぬ時なんてシワシワの枯れ枝みたいなババァだったのに!
…私にはわからない…どうしてアレクサンドルが
私ではなく、イザベルのほうを好きになったのか…」
「人間にも、吸血鬼にも、
そして、私にも…
人を好きになる理由なんて、
…誰にもわからない…」
ノーマがニセモノのFBIだということをつきとめ、
ペットショップに現れるレオン。

アレックスとノーマという人物の存在の不確かさ、
そして、
D伯爵、という人物に疑問を抱き、
レオンがDに銃を向ける。

「お前は、一体何者だ」

「もしその鉛の弾丸で撃ってめでたく私が死ねば、
ただの人間だということが証明できるというわけですね?」
…さあ、どうぞ…」


レオンを挑発するD。
銃を下ろし、レオンがつぶやく。

「ケッ!…俺は、吸血鬼なんて信じるかよ!
そんな怖ろしいバケモノが、あんなオチャラケてて、
ビール一杯で酔っ払って、
一途に恋をするなんて、そんなこと…
…俺は、信じねえよ…」




死んだ妻を追っていった、アレックスの影。
アレックスと、ウェディングドレス姿のイザベル。
二人が固く抱きしめあい、再開を喜ぶ。
「決定的だな…あんたはその疑問府の答えを、伯爵に求めているじゃないか…
でも惹かれあうから、交わることがないから、別れるの…?」


レオンの背後で、天がつぶやく。
過去が再び交差しはじめる。
「刑事さん…」
「D…」

Dとレオンの「別れ」の場面が
再びよみがえる。




「目に見えないものは信じない、力こそ、正義…」

天がレオンの「言葉」を代弁し、つぶやく。
「違うんだね、あんたは、伯爵に何かをみつけたんだ。
なのに、何故そこで立ち止まるの。
誰が、あんたをここに縛り付けるの…」



Dを追って旅立ちたいはずのレオンが
何故動く事ができないのか。

その謎を探るために、
天が再びレオンに夢をみせる。
一人の男がレオンに、ささやく。


「レオン…、
おまえのせいで、オレは、
死んだんだ………」

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