「1999年の夏休み」再演版舞台写真
今回はいつものようにみっちりしっかりとは記録を残せなかったので(泣)、
舞台写真も、とりあえずはこれだけです^^;
残念TT
*オープニング*
「僕らは、卵から生まれた少年という名前の鳥なんだ」
「鳥は、卵の中から抜け出ようと戦う」
「卵は世界だ」
「生まれようと欲する者は、一つの世界を破壊しなければならない」
「鳥は、神に向かって、飛ぶ」
「僕は、僕の卵を壊して羽ばたく」
「彼に向かって」
夏休みが始まり、寮には3人の少年だけが残された。
帰るあてのない少年たち。
彼らの胸の奥底には、3か月前に死んだ少年、「悠」の存在がくすぶっていた。
*直人と則夫*
悠が死んだのは和彦のせいだ、と
和彦を責めたてる則夫。
和彦をかばい、直人が則夫をぶつ。
直人「さっきは叩いたりして悪かったよ。でも、お前も悪いんだぜ」
則夫「わかってるよ。ぼくだってわかってるよ。
でも皆…直人だって、いつだって和彦の肩ばかり持つから…
直人は好きなんだもんね、和彦が」
直人「ばか、違うよ…」
そこに、一人の少年が現れる。
彼の名は、「薫」。
彼は、死んだはずの悠にうりふたつだった。
*薫と直人*
薫「身分証明は出来たろ?君が監督生なら、
君に預けとくよ」
直人「新学期に、転校生が来る、て事は、聞いてたけど…」
薫「それが僕さ」
薫は、悠の部屋を選んだ。
そして、悠が持っていたレコードと同じレコードを持っていた。
3人は動揺する。
和彦が思わず薫に掴みかかる。
*4人*
薫「課題終了!お先に失礼するよ」
則夫「だめだよ。まだ」
薫「どうして」
則夫「だって、時間割があるんだもの」
薫「夏休みなのに?ばかみたい。そんなの」
悠と似ているのは顔だけで、薫は、おとなしかった悠とは正反対の性格をしていた。
和彦は次第に薫を気にし始める。
*和彦と直人*
薫が悠に変貌する夢を見て、うなされる和彦。
目が覚めてからも、悠の影におびえ、幻覚を見る。
直人「落ち着けよ!」
和彦「悠が立ってる!ドアの外に!!」
悠の錯覚に惑わされ、呼吸が止まる和彦。
直人が慌てて蘇生させる。
眠る和彦に、そっと口づけをする直人。
*薫と則夫*
薫の部屋で、会話する薫と則夫。
「また悠はそんな事言わない、とか思ってるわけ」
則夫「違うよ…」
則夫は薫に、そして和彦に自分の悠への思いを告げる。
「どうして悠を死なせたの?」
「僕は和彦が嫌いなんだ」
「和彦は、ずるい…」
則夫の孤独な思いが、募ってゆく。
******
薫が追っていた蝶を殺してしまう和彦。
薫が責める。
薫「悠に対しても、そうだったんだろ!」
和彦「薫…君は一体、何を知っているんだ」
薫と和彦の感情がぶつかり合う。
*直人、薫と和彦*
直人が薫と和彦の会話を盗み聞く。
和彦「消えろ、消えてくれ、悠!」
薫「僕は悠じゃない、薫だよ」
薫と和彦、二人の魂が悠を通して次第に惹かれあっていく。
薫に嫉妬する直人。
直人は和彦を愛していた。
薫への嫉妬心と、和彦への思いに、少しずつ自分をコントロールできなくなっていく直人。
*****
ある朝、薫と和彦の姿が消えている。
薫の母親が死に、寮を飛び出した薫を和彦が追いかけたのだ。
二人の行方と則夫の物言いにイライラしていた直人が、則夫にナイフのような言葉を投げかける。。
直人に言われた言葉に、則夫は寮を飛び出してしまう。
則夫を探す3人。
則夫は森の中で一晩すごしていた。
薫にこっそりと、湖で拾った悠の遺書を渡す。
則夫「忘れ物だよ、君の…」
*****
悠の遺書を読んで、泣く薫。
直人が、薫を追い詰める。
直人「君は、死んだ…、君は、生まれた」
直人は薫を「悠」だと思っていた。
直人「君の恋のたくらみは、見事に成功したんだ…そうだろ!悠!」
直人が薫を崖に追い詰める。
直人「飛び降りろ、見届けてやるよ。2度と戻ってこないように、君の死を確かめてやる…」
崖に突き落とそうとする直人。
そこに、和彦が現れる。
直人が去り、和彦は薫に告白する。
和彦「僕は、君が好きだよ、薫。君のことが、好きになったんだ…」
口づけを交わす二人。
薫が告白する。
薫「僕は…悠だよ」
和彦「…悠…!?」
薫「君に愛されなかった悠という自分を捨てて、僕は薫という自分になって、
君から愛されたかった…。そうして今度は、君が僕にしたみたいに、
僕が冷たくしてやりたかった」
和彦「僕を、赦してはくれなかったんだね」
薫がささやく。
薫「一緒に死のうよ…」
和彦「いいよ、一緒に死ぬよ」
薫と和彦が崖に向かう。
直人が現れ、二人を止めようとする。
薫「母さんは僕を裏切ったけれど、和彦は僕を愛してくれたよ!
僕だって、もう、一人はイヤだ…!」
薫が和彦の手を取り、崖に飛び込む。
直人「違う!僕が望んでいたのは、こんな結末じゃない…!!」
*****
助け出された和彦。
薫は、湖の底に、消えてしまった。
*直人と和彦と則夫*
夕焼けをひとりぼっちで見た思い出を語る和彦。
和彦「怖かった。さびしかった。僕はどうしようもなく無力で、できることといえば、
ただ、泣き出すことくらいだった…」
直人「許して、薫…」
直人が懺悔する。
自分が愛した和彦に変わって欲しくなくて、全てを見殺しにしてきたことを。
蜩が鳴く。
則夫「夏休みが終わるね」
直人「ああ、新学期が始まる」
和彦「僕は忘れないよ、この夏休みを。
この年の、夏休みを…」
夕焼けの中、悠に、そして薫によく似た少年が現れる。
和彦「君は、悠?それとも、薫?」
少年「どちらでもないよ」
和彦が少年を笑顔で迎え入れる。
永遠の夏休みが終わり、世界を壊した少年たちは、
新しい季節に向かって、歩き出してゆく――――。
END
1999写真館へ戻る